子供が一時期よく聞いていた曲に、優里さんの「ビリミリオン」というYoutube再生1億回を超えるヒット曲があります。
鉄拳さんのパラパラ漫画がMVになっているのも有名ですよね。
「老人が君に言いました、残りの寿命を買わせてよと」という一節から始まる曲なのですが、ご存知でしょうか?
お金で時間は買えない、後悔しない選択を、自分の人生を頑張ろう、というメッセージ性の強い曲ですが、曲調はとても朗らかに、語りかけてくれます。
実は、この曲、税理士の私が聞くと、歌詞の解釈がちょっと違ってくる。
歌詞の中盤に、こんな一節が出てきます。
「50年が100億ならば、年収2億の大富豪だ」
これを聞いて、皆さんはどう感じますか?
夢のようなお金持ち!一瞬揺れるかも!?と考える方もおられるかなと思います。
私はというと、、、
「……いやいや、税引き前でしょ!?給与だったら手取りは半分以下になるからその結論待って!」
とこの一節を聞く度に、心の中でツッコんでしまうんです(笑)
※所得税の最高税率は住民税と併せて55%
「年収2億円って、税金引いたら実際手元に残るのってどれくらいになるかなー」
そんな思考が即座に浮かぶのは、きっと税理士の職業病かもしれません。
そんなことを家族に話したところ、しっかり引かれました。
「そんなこと考えて聞いてるん?」と。
うん、まあそうですよね。
でも、どうしてもこのモヤモヤを共有したくて、後日、事務所のスタッフとの飲み会の席で同じ話をしてみました。
すると、意外や意外(いや、予想通り?)、みんな大盛り上がり!
これは「給与所得」なのか、働いた対価ではないから「譲渡所得」なのか「残りの寿命は『モノ』なのか?」
「神様からのお贈り物の場合(実は老人は神様だった)人ではない者からの対価は?日本国外からの収入?贈与の可能性だってあるのでは?」
「課税地は?」「課税主体は誰?」などなど、議論が白熱。
気づけばちょっとした“税務ゼミ”のような雰囲気に。
あるスタッフが、「この曲、次に聞くとき絶対に手取りで考えてしまう気がする」と笑っていて、思わず「だよね!?」と返してしまいました。
もちろん、この歌詞に正確な税務処理を求めるわけではありません(笑)
でも、こうやって耳にする情報を、「この行為に税金がかかるリスクはあるのか?」「手取りはどうなる?」と考えるのは、私たち税理士の“思考のクセ”のようなものかもしれません。
それにしても、こういう話で盛り上がれるスタッフがいるのは本当にありがたいことだな、と感じました。
税金というテーマは、時に重たく、面倒なものと感じられがちですが、こうして“生活の感覚”や“リアルな数字”として、みんなが興味を持って話せる環境があるのは嬉しいことです。
「年収2億の手取りは?」なんて、実際にはなかなか現実味がない話かもしれません。
でも、税を通して、暮らしや人生の幸せ、お金について語れること。
それが、私たちの仕事の魅力のひとつだと、あらためて思った出来事でした。