スタッフBLOG

BLOG

JCSSスタッフから
お届けします

町の会計事務所としての使命 〜面談を通じて感じた“町医者”の価値〜

こんにちは、ジェイシス税理士法人の田中です。


今日は、ここ1年ほど伸び悩んでいたスタッフとの面談を行いました。


そのスタッフは、とても誠実で責任感もあり、顧問先対応にも真面目に取り組んでくれている方です。しかしながら1年前のあるミスをきっかけとして、本人としては「成果が出ない」「自信が持てない」「まだまだ一人前になれない」という思いを強く抱えているようでした。


そこから1年、毎週、毎月、そのスタッフの成長を見守ってきました。1年経った今日の面談で、今までの自身の変化をまとめて発表してくれました。

私自身、その言葉に耳を傾けながら、ふと心の中で思ったのです。


「町の会計事務所のスタッフが税務の『スタープレーヤー』になるには、やっぱり10年かかる」


その理由は、「業務スキルを身につける」ことから始まり、「多くの税目の経験を通じて点をたくさん積み重ねる」過程を経て、やがて「点と点がつながり、税目をまたいでスキームを描けるようになる」。そして最終的には「お客様の背景を深く理解し、ベストな提案を行い、必要に応じて周囲の専門家と連携して実行できる」ようになる。
この一連のプロセスを身につけて初めて、本当の意味で“町の会計事務所のプロ”と言えるのだと感じています。


最近は、「○○専門税理士事務所」といった、分野特化型の事務所が増えています。

たとえば、「相続専門」「インボイス専門」「消費税特化」など、1つの税目やサービスに絞ることで高度化し、効率化しやすく、マーケティングもしやすいというメリットがあります。私もそれ自体は素晴らしいスタイルだと思っています。


ただ一方で、「町の会計事務所」であることの価値は、また違うところにあると感じています。


それは、「まずは相談してもらえる存在であること」です。

顧問先の経営者やご家族が「ちょっと気になる」「誰かに聞いてみたい」と思ったときに、真っ先に思い出してもらえる存在であること。どんなに小さな疑問や悩みであっても、「麻里先生に聞いてみよう」と言っていただけること。それが税金だけにとどまらない実務的な幅広い分野をカバーする“町医者”としての会計事務所の正しい在り方なのだと思います。



もちろん、すべての問題に自分たちだけで完璧に答えられるとは限りません。

でも、話を丁寧に聴き、ときには専門家につなぎ、ときには一緒に悩み、ときには背中を押す。そうした「良き相談相手」としての立場が、町の会計事務所には必要なのです。

これは創業70年を超える当事務所だからこそ、より強く感じることかもしれません。


何十年も顧問を続けてくださっている企業様においては、経営者だけでなく、そのご家族の顔も、代替わりのタイミングも、会社の成り立ちも、当事務所は深く知っています。「歴史を共有している」という強みは、他にはない支援を可能にします。


たとえば、事業承継。

数字や税金のメリットだけを見てアドバイスするのではなく、そこにある「想い」や「背景」を理解したうえで、お手伝いできることに大きな価値があると信じています。


そうした立場を目指すためには、スタッフ一人ひとりの成長が不可欠です。


しかし、その道のりは簡単ではありません。


明確なマニュアルがあるわけでもなく、毎日異なる相談が飛び込んできます。判断力と柔軟性が求められ、過去の事例を参考にしながらも、目の前のクライアントに合わせて対応を考える必要があります。


だからこそ、スタッフには「型にはめたスキル」ではなく、「人としての対応力」を育んでもらいたいと思っています。そのためには、短期間ではなく、長い時間をかけて育てていく覚悟が必要です。



今日の面談では、スタッフ自身が自分の課題と向き合いながらも、「顧問先に喜んでもらえる仕事がしたい」「この仕事が好き」と口にしてくれたことが、何より嬉しかったです。

そして私自身も、改めて初心に立ち返り、「町の会計事務所のプロ」として在りたいと感じました。



これからも、私たちは、「税金の視点から暮らしと資産を守る」サポーターとして、顧問先の皆様の人生に寄り添っていける存在を目指します。
私自身もスタッフと共に悩み、考え、成長しながら、一歩ずつ前に進んでいきたいと思っています。

投稿者: tanaka