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半沢直樹の債権放棄を考える

「スモールビジネスを、世界の主役に。」
大阪市天王寺区のfreee4つ星認定アドバイザー「ジェイシス税理士法人」です。

コロナ禍でおうち時間が増えていると思いますが、皆さんの好きなドラマは何でしょうか?
今日は、私の好きなドラマについて!

今、日曜の夜9時といえば!
そう、TBSドラマの「半沢直樹」ですよね。
毎週を楽しみに、リアルタイムで見ているテレビドラマです。

子供も「倍返しだ!」「詫びろ、伊佐山」とキャッチ-なセリフを覚えてそれなりに楽しんでいます。(笑)

ドラマとしては、権力との闘い、そして帝国航空の行く先がどうなるのか気になるところですよねー。
半沢直樹の言葉に、税理士としても、胸に刺さるものがあります。

実際のドラマも楽しんでいますが、半沢直樹のストーリーを元にして、「現実問題として実際はどうなのか!?」というのを専門家の方が解説して下さるのが結構面白くて、色々とネットを検索しているこの頃です(笑)

実は、私自身も、今回のストーリーのテーマとなっている「債権放棄」という行為について、個人的に気にかかるところがあります。

少しドラマの内容を整理しますと、今回、半沢直樹のストーリーでは、国土交通省直属の企業再生チームが、各銀行へと一律の債権放棄を要求しています。
これに対して、半沢直樹は、融資先は自力で立ち直れる、債権放棄はしない!という主張を展開しています。

そして、半沢直樹の銀行の役員会において、債権放棄をするのか決議を行うのですが、ここがかなり白熱!!の場面なのです。

そう、銀行からすれば、債権放棄=500億円という巨額の赤字の計上です。

ここについて、議論には直接出てこなし、ストーリーには全く関係ないのですが、気になる部分が・・・。
今回の債権放棄、銀行自身の株主の存在は大丈夫なのか!?という部分ですよね。なんだか、置き去りにされているよなーと感じて見ておりました。(当然、話の流れからは必要ないんだけども。。)
頭取が「債権回収は銀行業務の最重要事項」(こんなニュアンスだったかな?)という発言がそれを表しているのですが、これでは少々わかりずらい。。

確かに「帝国航空は自力で立ち直れる!」というのは大事なことなのですが、なぜ半沢直樹がそこまで債権放棄に応じない姿勢を見せるのか、少々引っかかるんですよね。
半沢直樹のバンカーとしての誇りが自力再建をやりぬくんだ!という意気込みに繋がっているのも一理あります。
ただ、冷静にみると半沢直樹は会社員ですので、銀行が損することはしてはいけません。つまり、バンカーとしての利益の追求というのも大切な理由の一つなのではと考えています。とどのつまり、「バンカーの誇り」に集約されるのですが。

さて、役員たちの会話で、「多額の赤字を計上するのか!?」という場面がそうなのですが、株式会社たる銀行からすれば、株主の利益を守ること、利益を追求することが、会社としての務めです。
ともすれば、株主から「そんな債権放棄はおかしい。株主の利益をよくも損なってくれたな」と、株主代表訴訟というのを起こされて、経営責任を追及されかねません。

この債権放棄の判断が、株主の納得のいく、合理的な判断でなされているのかというのは、かなり慎重に判断すべき事項だと考えられるでしょう。

また、税務的にみても、この債権放棄というのは、論点としてはリスクのあるところです。

債権放棄が、税務上の損金として計上できないことがあります。
どうしても回収できないから債権放棄するのではなく、単なる寄附だと捉えられてしまうと、税務上は寄附金認定されてしまう事例もあります。
こんな、寄附金認定されるような債権放棄に同意した役員は、経営責任を追及される可能性が高いでしょうね。

ということで、この債権放棄の合理性というのが、問われています。

実際、銀行が債権放棄が税務上の損金に該当するかは、以下の通達が参考になるのですが、今回の半沢直樹に当てはめると、国土交通省直属の企業再生チームが作成している再建計画は、きっと「合理的」なのでしょうから(忖度はおいておいて・・・w)、債権放棄に同意しても、銀行は税務上も損金と認められるのでしょうね~。

 (子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)
 9-4-2 法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下9-4-2において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。

(注) 合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。

そんなことを、徒然と考えていた今週でした。

さあ、明後日が楽しみです!

投稿者: tanaka